傾向

30歳ブサイク。彼女いない歴=年齢。将来どうすればいいのかわからない... ツイッターアカウントはこちら@udon_zuruzuru

恋愛と醜形恐怖症とセックス。前編

好きな人がいる。

 

好きな人。

 

気持ち悪い響きだ。

 

特に30才のおっさんが使うと。

 

その子のことを常に目で追ってしまう。

 

街を歩いてる時...喫茶店でぼーっとしている時...YouTubeを見ている時...ふとした時に彼女のことを思い出す。

 

彼女の笑顔。彼女との会話。

 

完全に僕の片想いだと思う。いや嘘だ。本当は両想いだと思ってる。

僕は「彼女は絶対に僕のことが好きだ」と思ってる。

「僕と一緒にいる時にあんな笑顔を見せてくれたり、

あんな本音を話してくれた子が『僕のことを好きじゃない』

なんてことがあり得るだろうか?」

 

でもたぶん普通にあり得るんだろう。
僕は彼女にとって「ただの知り合い」に過ぎないんだと思う。

 

 

彼女とは共通の趣味がきっかけで知り合った。

 

びっくりするくらい可愛い子だった。一目惚れだった。

 

僕らはたくさん話した。「ある程度」は仲良くなれた。
「ある程度」は。

 

でも僕らはもう数ヶ月会っていない。彼女が趣味のサークルに参加しなくなったからだ。なぜ参加しなくなったのかはわからない。

 

 

とても可愛い子だったから、周りの男性もみんな彼女のことが好きだった。

性格もとても良い子だった。

男性だけの飲み会でよく「誰が一番可愛い?」みたいな話題になるけど

いつも彼女はダントツで1位だった。

 

気持ち悪かった。吐きそうになった。ここにいる男性は全員彼女のことが好きなんだ。全員が彼女のことを考えてオナニーをしているんだ。そう考えると本当に

吐きそうだった。気持ち悪い。想像の世界でたくさんの男とセックスを

させられている彼女のことを考えて可哀想だと思った。罪悪感を感じた。男として。

 

でも僕も彼女のことを考えて1、2回オナニーをしたことがあるから
他の男性達を批判する資格は無かった。

 

でも正直僕以外の全ての男の性欲を「気持ち悪い」と思った。

 

 

結局みんな顔しか見ていないのだ。

だって性格が良い子なんてほかにもたくさんいる。

でもみんながあの子のことを好きってことは「顔しか見ていない」ということだ。

「性格が良い」とか「優しい」とかは全て後付けだと思った。

「可愛くない子がどれだけ性格良くても誰も興味を持たない」という現実が

気持ち悪かった。結局顔が全て。ひどい世界だ。


男性の「可愛い子に向けられる異常な関心」と

「可愛くない子に対する残酷なまでの無関心」が怖かった。

 

 

最近僕はそのサークルの飲み会に参加した。
イケメンや僕のようなブサイク、美人やブス、様々な人が参加していた。
そういう場でも「暴力」が発生していた。静かな暴力。
別に誰かが誰かを殴っていたわけではない。

 

男性陣の「可愛い子に対する興味」と「ブスに対する興味」に差があり過ぎて引いた。悪気はないんだろうけど...子供っぽいし配慮がなさ過ぎると思った。

 

可愛い子に対してはみんなガンガン質問したり恋愛経験を聞くのに

ブスに対しては誰も質問しない。

 

いや...それはどうなんだ...と思った。
興味がないのは分かるけど露骨過ぎる...もう少し配慮が必要だろ...と思った。
僕は疑問を感じながらも、その「暴力」を苦笑いを浮かべながら

眺めることしかできなかった。


たしかに彼らの気持ちも分からなくはなかった。

全然可愛くない子に恋愛系の質問をして「私恋愛経験無いんで...」と返されると

場が気まずくなるから「質問するのが怖い」のだ。
質問した側も「空気読めない」って思われるし

女の子側にも恥ずかしい思いをさせることになる。


可愛い子は絶対恋愛経験があるから、場の空気が気まずくなることはない。

仮に可愛い子が「私男性と付き合ったことないんです...」と言ったら

「またまた~(笑)」とか「そんなに可愛いのになんで!?」とかって

余計話は盛り上がる。

結局可愛い女の子は「そこにいるだけで」場が盛り上がるのだ。

みんなのテンションが上がる。

 

僕らブサイクやブスにとって『生きる』ということはかなりキツイことなんだ...

 

 

僕はブサイクだからブスの苦しみはよくわかった。

僕も飲み会とかで全く質問されない。今まで生きてきて、

女性と仲良くなれたこともほとんどない。

30年間生きてきて女性と付き合ったことすら一度もない。

 

男女問わず、人間という生き物の「ブスブサイクに対する興味の無さは異常」だ。

残酷だ。

 

 

話がずれた。僕の「好きな女の子」の話に戻る。

みんな彼女のことが大好きだった。

気持ち悪いと同時にショックだった。「僕だけじゃないんだ」と思った。

僕だけが彼女の可愛さと性格の良さを「発見した」と思ってた。

そうじゃなくて彼女のそれは「普遍的」なものだったんだ。

 

全員から関心を持たれてる彼女に嫉妬した。彼女のことが少し憎かった。

彼女に対して気持ち悪ささえ感じた。

「たくさんの男性から好かれて興味を持たれているにも関わらず、

それを鼻にかけることもなく『私は普通ですけど』みたいな感じで何食わぬ顔をして

生きてる彼女」に苛立ちと嫉妬と憧れを感じた。

 

「美人やイケメンで生まれて、初対面で興味を持たれる人生って

どんな人生なんだろう?」

僕は経験したことが無かった。

僕はいつも顔で笑われたり馬鹿にされる側の人間だったから。

彼女に嫉妬した。可愛い顔で生まれるなんてズルイと思った。
運良すぎだろと思った。

 

でも同時に彼女のことが心配になった。
彼女もある意味では被害者だと思った。

あれだけ可愛いといろんな男性から興味を持たれる。

いろんな男性から誘われるだろうし、そのめんどくささは半端じゃないだろう。

 

好きでもない男から興味を持たれて嬉しい女性がいるだろうか?
いるかもしれない。でも基本的には「嬉しくない女性が大多数」だと思う。

 

結局僕ら人間は「好きな人から好かれたい」だけなのだ。
好きでもない男、キモい男に好かれてもめんどくさいだけ。
犯罪やトラブルに巻き込まれるリスクが高い。
好きでもない男から「ご飯に誘われたり」「話しかけられる」のはめんどくさいし

気持ち悪いし不愉快だろう。女性側にメリットがない。

 

「可愛い顔で生まれる」ということは必ずしも幸せなことばかりではないのだ。

 

 

その飲み会で、ある男性が彼女に対して不適切な発言をした。
少なくとも僕は不適切だと思ったし不愉快だった。

 

「どうしたらそんなことが言えるんだろう?」と思った。
でも周りはスルーしていた。特に疑問に感じた人間はいないようだった。

彼女は笑っていた。嫌がるそぶりも見せず笑っていた。

 

僕はその男に対して苛立ちを感じながらも、飲み会の雰囲気を壊すのも嫌だったので

無表情でその光景を見ていた。みんな笑っていたけど

その空気に同調して笑わないことが僕に出来る精一杯の抵抗で異議表明だった。

 

 

その飲み会が終わって、僕は1人で帰った。駅に向かって歩いていた。

後ろからいきなり「中村さん^ ^」と声をかけられた。

彼女だった。

「あ...お疲れ様です...」と僕は言った。

 

僕らは月一回のサークルや飲み会で会う程度の仲だったので、一歩その会場から出ると「話しかけるのはかなり気まずいこと」のように思えた。飲み会の時は隣の席で

すごく盛り上がっていた男性と、会場の外で出会ってもお互い無視、

なんてことはしょっちゅうだった。

 

そんな中で彼女が僕に話しかけてくれたのは驚きだったし、とてもとても嬉しかった。

僕らはどうでもいい世間話をした。そんなどうでもいいこと、

何気ないことがとても楽しかった。彼女も楽しそうに笑ってくれた。

 

僕は飲み会でのその男性の発言や振る舞いがどうしても引っかかっていたので、

それを正直に伝えた。あの飲み会でみんな笑っていたけど「僕だけは」

男性の振る舞いに疑問を感じていたんだ...「僕はそんな繊細なことも気づける人間で、高いモラルを持ち合わせていて、女性の気持ちが分かる人間なんだ...」ということを

彼女に伝えたかった。

 

でも彼のその振る舞いに対して言及すること自体が

セカンドレイプというかセクハラになる危険性があった。

 

僕は今まで「誰かのセクハラに便乗した意図的なセカンドレイプ」を

何度も目撃したことがあった。結局彼らは

「セクハラを受けた女性を気使ったり心配するふりをしてセクハラがしたいだけ」

なのだ。表向きは「気遣いや心配を装っているため」女性側は拒否しづらい。

その言動が不快でも「やめてください」と言いづらいのだ。


卑怯だと思った。気持ち悪かった。死んでほしいと思った。

 

 

僕「ねぇ...さっきの飲み会大丈夫でした?
◯◯さんの振る舞いは正直...度が過ぎているというか...見ててムカついたんですけど...かなりしんどくなかったですか?」

 

彼女「あ...◯◯さんですか?無視してるんで大丈夫ですよ(笑)
聞き流してるんで...(笑)」

 

なんてタフな子なんだ...と思った。凄いと思った。

 

僕「あ...そうなんだ...(笑)すごい...」

 

彼女「私あしらうの上手いんで(笑)」

 

僕「...そっか...良かった...なんか気になっちゃって......平気なら良かったです^ ^」

 

彼女「全然です^ ^ありがとうございます」

 

僕「...もし...嫌なことがあったら言ってくださいね...」

 

彼女「ありがとうございます^ ^」

 

結局彼女の方が何枚も上手だった。

彼女は今まで生きてきて、その美貌が故に何度も「不快な言動」に

出会ってきたんだろう。だから、それをかわす術を身につけていたのだ。


僕はほっとすると同時に怖くもなった。今でこそかわせるようになった彼女だけど、

まだそれが出来なかった頃はどれだけ傷ついたり嫌な思いをしたんだろう...

 

そして、もし今後彼女でも回避できないくらいの狡猾な行為や言動、

『悪意』に出会った場合どうすればいいんだろうと思った。

もしそんな悪意が彼女を襲ったら...僕は彼女を守れるだろうか?

僕は彼女が「理不尽な悪意」に襲われている光景を想像した。
彼女に一生消えない心の傷が出来ることを想像した。
吐きそうになった。彼女の両親や友人の苦しみを考えた。


彼女は素晴らしい子だから、間違いなくご両親や友人も素晴らしい人達なんだろう。

彼らの苦悩を想像した。

 

 

彼女が悪意に遭遇しないことを祈りながらも

「彼女が傷つくことをほんの少しだけ望んでいる僕」の存在に気づいた。

僕は彼女が理不尽な暴力に襲われることをほんの少しだけ望んでいた。

なぜだろう?

彼女が傷つくことを想像して少し興奮した。

 

そしてもしそんな事態が起こった場合加害者の男は絶対に殺されなければならないと思った。

 

でも明らかに彼女は『傷つくべきではない人間』だった。

『絶対に』彼女は傷つくべきではなかった。絶対に。

 

この世界で何が起きようと、彼女は絶対に『傷ついてはいけない人間』だった。

 

あんなに可愛くて性格も良くて、みんなから愛されて人に迷惑をかけない人間が

なぜ傷つかなければいけないんだろう?

 

彼女を守りたい。大好きだ。心の底から。

 


彼女が暴力や悪意に遭遇するのが怖かった。

でもそれを少し「望んでいる自分」もいて、自分の中に潜んでいる

「暴力性」や「男性性」が怖かった。

でもそんな自分の暴力性を少しだけ頼もしく思った。

「僕は優しくて思いやりのある人間だけど、誰かが暴力で傷つくことを想像して

興奮してしまえる側の人間なんだ」と思った。

 


彼女が今後悪意に遭遇しないことを心の底から願った。
そういった悪意が世界から消えて欲しいと思った。

 

僕らは世間話をして解散した。
「僕は気配りができる人間です」ということを彼女に伝えられただけで満足だった。

結局は僕も他人の言動を「自分のモラルの高さ」をアピールする為に

利用してるだけだから、やってることは他の男性とあまり変わらないのかもしれない...

 

 

また話がずれた。

僕は彼女のことが好きだ。大好きだ。

こんなにも人のことを好きになったのは初めてだ。

なぜだろう?

 

可愛すぎるからだろうか?性格が素晴らしいからだろうか?

普段彼女のことばかり考えている。夢にも何度も出てきた。

 

だけど彼女の前では無関心なふりをしてしまう...

中学生かよ...

 

僕は僕自身のことを精神的に「大人」だと思っているので、

こんな子どもっぽいことを自分がしている、という事実に少し驚いている。

 

「僕ほどの人間がなんでこんな子どもっぽいことを...」って。

 

別に普通に話せばよくないか?なんでいちいち興味ないふりをするんだろう?
彼女に興味津々なくせに。仲良くなりたいくせに。

 

彼女と話す機会があっても、彼女に対して

「興味がないふりをして素っ気なく振る舞う」ことで「彼女を傷つけられた」

「やった!」って思ってしまう。

 

...だから中学生かよ。なんでそんなことすんだよ。

 

でも僕は、彼女も僕のことが好きだと信じている。僕は顔も酷いし階層も低いけど

性格が優しいし喋りがおもしろいから、本気で「彼女も僕のことが好き」って

信じてる。

 

数ヶ月前彼女に最後に会った時「中村さん元気ですか^ ^?」って笑顔で

話しかけてくれた。本当はいろいろ話したかった。

話したいことは本当にたくさんたくさんたくさんあった。

 

でも彼女に対して、嬉しそうに浮かれて喋ってる自分を見るのが怖かった。

「結局僕も他の男と同じで、顔で彼女を好きになったんだ...」と思うと

悔しかった。結局僕は彼女の顔に「負けてしまった」のだ。

 

 

僕は「内面で彼女のことを好きになった」と思いたかった。

彼女の優しさやおもしろさ、人間性、それで好きになったと信じたかったけど、

それでは説明がつかなかった。どう考えてもほかにも

性格が良い子はたくさんいた。別に彼女が突出して性格が良いわけではなかった。


彼女の「整った顔」という大前提があった上での「性格」なのだ。

 

もし...彼女が可愛くなかったら...誰も彼女に興味を持たなかったと思う...

 

 僕は笑顔で話しかけてくれた彼女に素っ気ない返事をした。

 

素直になれなかった。僕のプライドが許さなかった。
本当は話したかった。話したくて仕方なかった。

でも「僕の方から話しかける」のはプライド的に無理だった。
恥ずかしかった。

「結局はあなたも私のことが好きなのね...ほかの男達と同じように...」

と思われることに我慢できなかった。

僕は特別なんだ...僕は特別なんだと思った。

 

「僕と話したいんならもっとそっちから「中村さんと話したい」

「話したくて話したくて仕方ない」という雰囲気を出してくれ。

もっと積極的に来てくれないと僕は話してあげないよ」という

謎の上から目線の心理があった。

 


そして「彼女を傷つけてみたい...」という心理もあった。
「私は中村さんのことがこんなに好きなのに...

なんで中村さんは振り向いてくれないの...>_<」って彼女に思って欲しかった。

家で泣いて欲しかった。

 

「中村さんは私のことなんか興味ないんだ...>_<」って落ち込んで欲しかった。

美人で生まれてきた彼女に対する、ブサイクからのささやかな復讐なんだろうか?

なんでそんなことをしたのか自分でもよくわからない。

 

 

飲み会の席でも、僕はなんとなく彼女を避けた。

彼女はなんとなく僕と話したがっているように見えた。勘違いかもしれないけど。

僕も本当は話したかった。彼女とたくさんたくさん話したかった。

仲良くなりたかった。でも...怖かった。仲良くなるのが怖かった。

 

「自分と違う世界にいる『可愛い女の子』という異次元の存在と

本当に仲良くなれてしまう気がして」それが怖かった。

僕は「非モテというポジション」をそれなりに楽しんでいるのに

その世界が変わってしまうのが怖かった。

 

 

僕は最近ある程度女性とコミュニケーションがとれるようになってきた。

「女性」という生き物のことが「ほんの少し」ではあるけど分かるようになってきた。

 

でも「可愛い女の子」と仲良くなれてしまうことに恐怖も感じていた。

そんなことがあっていいのか?

僕が可愛い女の子と仲良くなれてしまっていいのか?

少し拍子抜けな感もあった。簡単に仲良くなってしまうのも

おもしろくない気がしたし、仲良くなることで

『可愛い子に対するある種の信仰や幻想』が消えてしまうような気がして

それも恐ろしかった。

 

 

でもたぶん本当に怖かったのは「がっつり話したけどたいして仲良くなれない」

という現実だったんだろう。

僕は彼女のことを愛していたし運命すら感じていた。

それが全て「僕の勘違い」で終わるのが怖くて怖くて仕方なかった。

 

「彼女も僕のことが好きに違いない」という確信が覆され「どうでもいい知り合い」

としか思われていない...という現実が明らかになるのが怖かった。

 

僕は飲み会の席で他の女の子と楽しく話した。

他の女の子と楽しく話してる所を彼女に見て欲しかった。

僕はその子との会話を「本当に楽しみながらも」横目で彼女をチラチラ探した。

 

無意識に彼女を探していた自分に「どんだけあの子が好きなんだよ...」と

恥ずかしくなった。

そして「結局は一番可愛い子を好きになってる」自分の陳腐さに失望した。

 

 

彼女に「なんで中村さんはその子と楽しそうに話してるの?その子のことが好きなの?なんで私に振り向いてくれないの?」って思って欲しかった。

 

悔しがって欲しかった。嫉妬して欲しかった。傷ついて欲しかった。

泣いて欲しかった。僕のことを欲しがって欲しかった。

 

「お願いだから...私の方だけを見て...好き...」って言って欲しかった。

 

でもたぶんそういうことを「絶対に言わない子」だからこそ

僕は彼女を好きになったような気がする。

 

「好き」と言われたら「興味が無くなる」という心理はあると思う。

 

それはたぶん「自分のことが好きじゃない相手を好きにさせる過程」に

おもしろさがあるから、だと思う。

 

相手が「好き」と言ってきた時点でそのゲームは終わってしまう。

 

僕は今まで女性から「好き」と言われたことが無いから分からないけど。

 

僕は彼女から「好き」と言われても彼女のことを好きなままでいられるだろうか?

 

 

っていうか...実際は彼女に普通に好きな人がいて、

僕のことなんか全然眼中に無かったら笑える...っていうかその可能性が99%だと思う...あんなに可愛くて彼氏いないなんてあり得ないだろうし...

 

まぁこんなこと言いつつ...僕は「彼女は僕のことが好き」って信じてますけどね...

 

いい歳して何を考えてるんだろう?と思う。

 

...でもこんな自分が可愛くて大好きなんだ...

 

 

長い前置きは終わり。本題に戻る。

 


今まで僕はいくつかの文章を書いてきた。

 

今回は今までで一番長い気がする。
(実際に文字数を数えたわけではない。なんとなくの体感です)

 

なるべく沢山の方に読んで頂きたい...という思いもあり

前編と後編に分けることにした。

 

最後まで読んで頂けるとありがたいです。

では始めます...

 

先日20歳の女の子と映画を観に行った。
(先程の女の子とは別の方です)

 

彼女と会うのは2回目だった。

 

結論から言うと......彼女と会って話すのはとても楽しかった。

でも...わからないけど...なんとなく...
彼女はもう僕に会ってくれない気がする。

 

僕としては今後もたまに彼女と会って映画を観たり食事をしたいけど...彼女のほうから「もうお腹いっぱいです。大丈夫です」みたいな空気を感じた。

 

 

他人から「もう会いたくない」「お腹いっぱい」「興味がない」
と思われるのは本当につらいことだ。「飽きられる」のは本当につらい。

何度経験しても慣れない。


とてもみじめで、自分という存在が「ボロ雑巾のように扱われた」と感じてしまう。

僕は僕のことを「特別な人間」だと思っている。

「とてもおもしろい人間」だと思っている。


だからこそ「もうあなたと話すことがないし話したいとも思わない」みたいな

空気を感じるととても苦しくなる。「なんで?」「そんなにつまんなかった?」

「まだ切らないで...もう何度か会おうよ...」という気分になる。

 

でもそれは仕方がないことだ。誰にも止めることはできない。
性格的な相性の問題だったり、出会い方の問題だったり、階層的な問題だったり...

まぁ僕の場合は単純に「僕の魅力不足」なんだけど...


そこは素直に認めたい。
僕は僕が思ってるより「おもしろくない人間」なんだ。
僕以外の人間にとって僕は「どうでもいい人間」なんだ。

 

それは認めなきゃいけない。
それを認めなきゃ...僕はどこにも行けない。

 

 

いろんな人がいていろんな価値観がある。
人の数だけ好みも意見もある。

 

全ての人間から好かれたり興味を持たれるのは不可能だ。

こう書くとまるで「今まで何人かの女性に好かれたり興味をもたれたことがある」

みたいだけど、もちろんそんなことは一切無かった。

 

僕は今まで「本当の意味では」誰からも相手にされなかった。

「男」として見られなかった。

ツイッターという世界で一時的に持てはやされたピエロ」に過ぎない。

そこは認めざるを得ない。

 

これから頑張って、本気で誰かを愛したり誰かに愛されたりしたい。


そう思っている。

 

これから書くのは「彼女と初めて会った時のこと」と

「彼女と2回目に会った時のこと」だ。

 

少しの間僕の文章に付き合って欲しい。

 

最初に言っておくが...この話には感動的な結末も無いし
示唆に富む教訓もない。何もない。

 

それでも僕は「あなたに」読んで欲しい。あなたに。
このまま読もうか、やめようか迷っているあなたに。

では始めます。

 

 

彼女と初めて会ったのは約1ヶ月前だ。

それは彼女から「この世にブスで生まれた苦しさを聞くため」だった。

 

 

僕は以前から「ブスやブサイクの苦しみを文章にしたい」と考えていた。

醜い顔でこの世に生まれる苦しみ。
それを文章にしたかった。ずっと。ずっと。

 

僕自身顔のことで今まで散々悩んで苦しんできた。

 

自分の顔について悩んだことのない人はいないと思う。

 

石原さとみですら自分の顔で悩んだことがあると思う。

 

でもその悩みにもレベルがある。

「もう少し目が大きければ...」
「ここにホクロが無かったら...」といったものから
「ブサイクすぎて家から出たくない...」
「ブスすぎて死にたい...」といったものまで...

 

顔で悩んでいたピークの年齢は20歳前後だったと思う。

いつも鏡を見たり、ケータイで自撮りをしまくっていた。

僕はとてもとてもブサイクなのだが、なぜか鏡にうつっている自分や、

自撮りの僕はかっこよく思えた。なんてかっこいいんだろう...そう思った。

 

でも他撮りや証明写真の僕は本当にどうしようもないブサイクだった。

僕はこんなに気持ち悪い顔なんだ...と思った。これは何かの間違いなのでは?

さすがにこんなにブサイクであるはずがない...

 

僕は自分のブサイクな写真を見た後は、ネットでイケメン俳優やモデルの

「たまたま撮れたブサイクな他撮り」を検索した。

「彼らみたいなイケメンや美人でも他撮りだとこんなにブサイクになるんだ。

じゃあ僕がブサイクになるのも仕方ない。たまたま光の加減でブサイクに

なっただけで僕は本当はイケメンなんだ...」

 

無理があるけど当時の僕は本気でそう思っていた。

 

自撮りでのかっこいい僕と他撮りでのブサイクな僕。
「イケメン」「普通」「ブサイク」の中で自分が客観的にどこに位置するのか、

自己イメージをどこに置けばいいのか、それが分からずモヤモヤしていた。

自分の客観的な位置を知りたくてたまらなかった。

そして、知るのが怖くてたまらなかった。

 

本当は自分が「普通寄りのブサイク」あるいは「ブサイク寄りの普通」であることに

気づいていた。でもそれを信じたくなかった。自分は特別なんだと思いたかった。

 

「普通であること」「特別ではない」ということに耐えられなかった。

「普通」もしくは「少しブサイク」であるくらいなら極度のブサイクであるほうが

まだマシなように思えた。

 

そのうち、家の中のこの場所でこの角度から撮ったらそこそこかっこよく見える、

ということが分かってきた。

 

でも全くモテないし、証明写真をとったりすると、そこにはとんでもないモンスターが写っているわけで「僕ってそこそこかっこいい...」

「めっちゃブサイク...死にたい...生まれ変わりたい...」という2つの感情を

行ったり来たりしていた。

 

でも、結局は他撮り写真の凄まじいブサイク顔や、

同じ大学を目指していたネットで知り合った浪人生の女の子が、

僕の写真をメールで送った瞬間音信不通になる...という出来事を通じて

「やっぱり僕はブサイクなんだ...」という思いを強くした。

 

やはりどう考えても家の中の特定の場所の特定の角度から撮影した自撮りより、

他撮りの凄まじいブサイク顔や証明写真のほうが、

僕の本来の顔を反映している気がしたから。

 

僕は段々「自分がブサイクである」ということに耐えられなくなっていった。

とてつもなく恥ずかしかった。イケメンで生まれる可能性もあったのに

運悪くブサイクで生まれてしまったという人生の理不尽さにぶちのめされていた。

救いがない。救いがなさすぎる。

 

外を歩くと、みんなが僕の顔を見て笑っているような気がした。

 

でも自分がブサイクであるということを自覚しつつも、

僕は街ですれ違う女の子が全員僕に興味を持っている、僕に一目惚れをしている、

という幻想を抱いていた。なぜそんなことを思っていたんだろう?
よくわからない。


その頃は「街で一目惚れをされず、女の子から声もかけられない」という現実に

苦しさを感じていた。

 

もし僕がイケメンだったら彼女たちは僕に一目惚れをして、告白してくるだろう。

それがないのが悔しかった。なんてこの世界は理不尽なんだろう。

自分の努力や人間性とは全く関係無く、勝手に顔が決まって、その顔によって

社会での扱われ方が違うなんて...

(もちろんこれは顔以外の全てのことにも言えるわけだが...)

 

僕は自分がキムタクじゃないことが悔しかった。

 


当時は、知り合いが「中村くんってそんなにブサイクじゃないよ?普通だよ?」と

フォローしてきても「いや...そんなことないです^^;ありがとうございます^ ^」と

言いながら「僕は普通程度なのか...?まじか...僕はイケメンじゃないのか...」と

1人傷ついていた。

僕は自分をブサイクと言いつつ、自分がブサイクであることも自覚しつつも、

本当は普通以上だと考えていたのだ。

 

街でスカウトされなかったり、大学で女の子から話しかけられないことに

虚しさと苦しさを感じていた。

大学に入学して1ヶ月くらい経った頃、授業が終わってバスに乗ると、

同じ学科の可愛い女の子3人が僕の後ろの席でガールズトークをしていた。

「学校慣れた?」みたいな会話の中で1人の女の子が

「あんまり慣れてない(>_<)っていうかあの人とか...まだ名前すら知らないし(笑)」

と言った。あの人とは僕のことだった。

つまり、同じ教室にいることが多いからなんとなく顔は分かるけど名前は知らない、

別に知りたくもない、ということだった。

 

僕はその言葉が結構ショックだった。
10年以上前のなんでもない出来事なのに、
なぜか今でもはっきりと覚えてる。

 

たまたま、そのちょっと前に「人間は興味がある人に対して、まず名前を知りたいと

思う生き物。その人のステータスや経歴をどれだけ知っていても「名前を知りたい」と思わないということは興味がないということ」という文章を読んでいたので。

 

僕は「見た目で興味を持たれない」ということが悔しかった。ブサイクというだけで、存在を軽く扱われたり、なめられたり、馬鹿にされることが悲しかった。

 

もし僕がカッコよかったら...イケメンで生まれていたら...彼女はすぐに僕の

名前を覚えてくれただろうし興味を持った、と思うと悔しかった。

 

僕に興味を持たない「人間という生き物の構造」が憎かった。


なぜ人間は「顔が普通」あるいは「顔が醜い人間」に対して、ここまで無関心で

いられるのか。
そして「可愛い」「かっこいい」というだけで、

なぜこんなにも興味が出てしまうのか。

 

初対面で他人から興味を持たれない顔で生まれてしまったという運の無さ、

それに対する救済策が一切無い人生というシステムのいい加減さ、

理不尽さに戸惑っていた。

「僕はこれからこの恥ずかしい顔、醜い顔でどんな風に生きていけばいいんだろう?」
「...っていうかなんでこんな顔で生まれたんだろう...?」


それに対する納得できる答えなんて無かった。
強いて言えば「両親がブサイクだったから」だ。

 

でもそんな答えでは納得できなかった。
それは「僕という人間がなぜブサイクな顔で生まれてきたか」の答えには

なっていたけど「「中村」と名付けられたブサイクな顔面を持つ身体になぜ

『僕という自意識』が乗り込むことになったのか」の答えにはなっていなかったから。

 

つまり、なぜ「こんなに醜い顔を持つ人間の身体の操縦士が『この僕』なのか」

 

という問いだった。

答えなんてどこにも無かった。

 

僕は整形を考えた。

でも整形をすると周囲から「うわ...整形したんだ...気にしてたんだね...(笑)」と

笑われるのが怖かった。

 

僕がいないところで「あいつ整形したよね(笑)」「ウケる(笑)」

「まだブサイクのままだけどね(笑)」
「っていうか整形したのにそんなに変わってなくね(笑)?」

「あまり変わらないんだったら、わざわざ金かけてやる意味あったの(笑)?」
そんなことを言われたり思われるだけで嫌だった。屈辱だった。


もし整形するなら、整形した後で、僕のことを誰も知らない街に

引っ越すしかなかった。整形していることを知られた状態で

生きていくのは無理だった。


でも僕は学生だったし新しい街で新しい生活を始めるのは現実的に難しかった。

僕は整形を諦めた。

 

ネットでタレントやアイドルの写真を見ると、うらやましくて仕方なかった。

 

なぜ彼らはあんな顔なんだろう?なぜあんなに綺麗でかっこいいんだろう?

 

「この人達はこんな顔で生まれて何が不満なんだろう?何を悩むんだろう?」

 

不思議で仕方なかった。

 

 

バイトに応募するのが怖くてたまらなかった。


履歴書を持って面接に行く。

 

僕は店長から「うわ...(笑)ブサイク...(笑)」と馬鹿にされているように感じる。

 

面接が終わって家に帰る途中で僕は以下のやりとりを妄想する。

 

可愛い女の子達が「新しく応募してきた人ってどんな人なんですか?」と店長に聞く。

店長は「あぁ...この子だね...」と履歴書を女の子達に見せる。

彼女達は僕の顔写真を見て笑う。「うわ...(笑)ブサイク...(笑)」

「イケメンが良かった...>_<」


写真を見た瞬間彼女達は僕に対する興味を失い、一瞬で僕の話題は終わる。

すぐに最近見たおもしろいドラマや恋バナに話題は移る。僕は不採用になる。

数日後その店に行くと新人のイケメンが働いている。

彼は綺麗な女の子達に優しく仕事を教えてもらっている。


「◯◯くん超ウケる~(笑)」「◯◯くんはどんな女の子がタイプなの?」

「...優しい子がタイプっすね...^^;」

 

うるせーよ

 

 

そんなやりとりを想像すると、仕事に応募するのが怖くなった。

僕は誰にも望まれていない。馬鹿にされるのが怖かった。

若い女性が怖かった。興味を持たれないのがつらかった。

 

おばさんやおばあさんと一緒にいると安心した。

彼女達は「僕がブサイクであること」を気にしていないようだった。

彼女達と一緒にいると「自分がブサイクであることに対する罪悪感や後ろめたさや

恥ずかしさ」を感じずにいられた。

おそらく僕自身がおばさんやおばあさん達を性的な目で見ていなかったからだろう。

だから僕は「彼女達からどう思われてもどうでもよかった」んだと思う。


彼女達と一緒にいると安心した。彼女達からの「評価」に怯える必要がなかったから。


でも若い女性達と同じ空間にいるのはつらかった。

常に「僕の男性性」を評価されている気がした。

 

彼女達のブサイクに対する「残酷なまでの無関心」は

僕の自尊心やプライドをずたずたに切り裂いた。

 

表情筋のトレーニングをしたらイケメンになれるというネットの情報を見て

トレーニングをした。もう藁にもすがる思いだった。


イケメンになりたい、ブサイクを抜け出したい、その思いが強すぎたのか、

あまりにもやりすぎて顔に変なアザができた。
それでも僕は顔を変えたかったから、電車の中でもバスの中でも

街を歩きながらでもトレーニングをし続けた。

電車の中でずっと顔を動かしている僕ははたから見たら異常者だったと思う。

数ヶ月やったけど顔は全く変わらなかった。

ただ変なアザが出来て余計顔は醜くなった。

アザのせいでトレーニングをしてることが他人にバレる気がして、

それがすごく恥ずかしかった。

 

自分がブサイクであることに悩みながら、かつ、そのブサイクさを自覚しながら、

なぜか僕は「自分に好意を持ってくれる女性がいる」という幻想を抱き続けていた。

 

当時僕の家の向かいにドラッグストアがあって、僕はよくそこで買い物をしていた。

そこには可愛い店員さんがいた。

僕はなぜか、その店員さんが僕に好意を持っていると思っていた。なぜだろう。

なぜそんなことを思ったんだろう。

彼女は、僕の顔に魅力を感じている、そして僕の内面にも魅力を感じている、

そう思っていた。

 

僕は彼女のレジで買い物をするたびに

「...私...初めて見た時から好きで....あの...迷惑じゃなかったら...付き合ってください...」といつ彼女から言われるんだろうと思っていた。

 

もちろん僕から告白する勇気も無かったし、

こちらから仕事と関係のない質問をするのもセクハラじみていて嫌だった。

僕はあくまで「紳士的な客」という立ち位置を崩したくなかった。

 

でも無愛想な客にはなりたくなくて「感じが良くて紳士的だけど、

でも余計なことを言わない良いお客さん」みたいなポジションでいたかった。

彼女も、僕のそんな控えめな一面も含めて、好意を持ってくれている気がした。

 

結局、当たり前のことだけど、彼女は僕に告白してこなかった。
世間話すら一度もなかった。すべて僕の妄想に過ぎなかった。

 

しかし「告白されなかった」という事実に僕は傷ついていた。


「日常的に何度も接している女性から男性として興味をもたれなかった。

向こうから僕に対する興味が感じられなかった」という事実に傷ついた。

 

その「悲しさ」を誰かにぶつけたり「なんらかの行為」を通して

「社会に復讐する気」はさらさらなかった。

僕は1人で妄想して1人で傷ついていただけだ。自分1人で完結していた。
僕自身の「1人で完結する健全さ」や「暴力性の低さ」を僕は愛していた。

誇りに思っていた。今でも思っている。


「豆乳を飲めば女性ホルモンの影響で綺麗な顔になれる」という

よく分からないネットの情報に踊らされて、豆乳を飲みまくった時期もある。

しばらく続けたが何も変わらなかった。

 

僕はついに歯科矯正を始めた。

ブサイクを抜け出すための最後の手段だった。

僕は医者から「あなたは歯並びが悪すぎて矯正しないと磨けない部分があって、

そこが不衛生になると虫歯になって歯が抜けます。だから矯正したほうがいい」

と言われた。

 

これは「ブサイクを少しでもマシにしたいから矯正したい」と正直に

家族に言えない僕にとって都合が良かった。

自分が顔を気にしていることを周囲に悟られたくなかった。

もちろんバレていただろうけど、それを言葉に出すことはできなかった。

恥ずかしくて言えなかったし、家族間でも

「容姿の話」はしてはいけないような気がした。

 

「矯正しないと不衛生で虫歯になって歯が抜けちゃうからそれを防ぐため」という

表向きの理由をつくることで、なんとか矯正を始める口実ができた。

 

 

僕は歯並びがめちゃくちゃ悪かった。今も悪いけど。

歯並びが悪いまま街を歩くのは恥ずかしかった。

「あなたはその汚い歯並びで平気で街を歩ける側の人間なんですね」と

言われている気がした。

僕は自分がブサイクであることで女性、男性、社会から見下されているのが

納得できなかった。

顔が醜いとそれだけで馬鹿にされる。見下される。


話す前から「恋愛対象外」「あなたに興味ないです」って

目で見られるのが苦しかった。
街ですれ違った女性から二度見されないのが悔しかった。

 

矯正器具をつけるのは恥ずかしかった。
「歯並び気にしてるんだ...」って周囲から思われるのがつらかった。

 

「矯正してるんですね~」って言われるたびに
「僕歯並びが悪すぎて、矯正しないと歯が磨けない場所があって...

せざるを得なかったんですよね...めんどくさいっす>_<」みたいな言い訳をした。

本当の理由をごまかすのに必死だった。全部バレてたと思うけど。

 

矯正しても顔は何も変わらなかった。

もう一度言う。

矯正しても顔は何も変わらなかった。僕の場合は。

数年という時間と200万くらいの費用がかかったと思う。

でもびっくりするくらい何も変わらなかった。

歯並びは多少綺麗になった。それに関しては満足してる。

結局僕は矯正をしても表情筋トレーニングをしても

豆乳を飲んでも何も変わらなかった。ブサイクのままだった。

 

月日が流れて今僕は30歳。

顔のことで悩む回数は減った。

今も僕はブサイクのままだ。というか年齢を重ねるにつれ、
ブサイクさは増しているようにすら思える。


先日親戚の幼稚園児と久し振りに会った時
「なんでそんなに目が小さいの^ ^?」と言われた。
彼に悪気が全く無かったのがつらかった。彼は僕を攻撃しているわけではなかった。

彼は単純に「僕の目が他人と比べて著しく小さいことが不思議に思えただけ」だった。

 

僕は少しショックを受けた。「最近顔が少しマシになってきた」と思っていた

矢先の出来事だったから。
この場に僕ら2人しかいないことがせめてもの救いだった。

もしこれをほかの大人に聞かれていたらかなり気まずい空気が流れていただろうから。

 

僕は「...ちょ...(苦笑)」と苦笑いして、しばらく考えてから

「...そうだね...なんでなんだろうね...」と答えた。

彼は、僕の答えに興味が無かったらしく、僕の答えを無視して、

仮面ライダーの話を始めた。


 

話を元に戻そう。僕はなぜ自分のブサイクさをたいして気にしなくなったのか。

なぜ顔で悩むことがなくなったのか?なぜスマフォで自撮りをしまくって

それを見て喜んだり苦しんだり...そういったことをしなくなったのか?

 

理由はいくつかあると思うけど、単純に言うと「自分のブサイクさに慣れて、

自分の顔にそこそこ愛着が出てきたから」だと思う。

 

30年間自分の顔を毎日鏡で見て、他撮り写真で客観的な自分の顔のレベルを

思い知らされて、ショックを受けたり苦しんでるうちに

「まぁ...顔について悩んでても仕方ないよな...もう改善の仕様がないもんな...」と

「諦め」に似た感情が湧いてきた。

 

このブサイクで滑稽な顔も僕の性格に似ていて、悪くないじゃないか。

そう思えてきた。

その諦めはネガティブなものではなく、どちらかというと前向きというか

「もう考えたって仕方ないし...顔を悩むよりももっと生産的なことに

時間を使って前向きに生きたほうがいいな...」と思えるようになってきたのだ。

 

ずっとネガティブに生きるのはしんどい。疲れる。めんどくさい。
だから人は少しづつ前向きになっていく。

ネガティブに疲れてポジティブになっていく...

 

さて本題(?)に戻ろう。

僕は「ブサイクやブスの苦しみを文章にしたい」と思っていた。

 

ブサイクやブスと話して苦しみや地獄を共有、共感したかった。

 

今まで僕は僕なりにいろんな本や映画やテレビを見てきたけど「顔が醜い苦しみ」に

正面から向き合った作品と出会ったことがなかった。

 

どれも「ブサイクだけどポジティブに生きよう」とか「顔なんて関係ない。

大事なのは中身」とか「ブスなのはあなたの性格に原因がある」

「ブスなのはあなたの努力が足らないだけ」とか

「ブサイクであることでいろんなことに気づけた。ブサイクで生まれて良かった」

とか...

そんな話はどうでもよかった。

 


僕は具体的な「苦しみ」に焦点を当てたかった。
ブスやブサイクであることで具体的に何がつらかったのか。

なぜ死にたいと思ったのか、周りに何を言われたのか、今何を考えているのか。

僕はそこに焦点を当てたかった。人間の苦しみ、人生の理不尽さ、
それが知りたくてたまらなかった。

 

なぜその理不尽さに誰も興味を持たないのか、それが不思議で仕方なかった。

 

僕はツイッターで「ブスやブサイクの苦しみを文章にしたいです。

どなたか話を聞かせてくれませんか?」と募集した。

 

1人の女の子がメールをくれた。

そこには「インタビューしてほしいです」と一言だけ書かれていた。

それが20歳の女の子で大学生のZさんだった。

 

以前から彼女は何度か僕にメールをくれていた。

1番最初のメールは半年ほど前だ。


突然「中村さんは整形している女と恋愛できますか?」
というメールをくれた。

 

僕は正直に
「全然できますね。むしろ整形してらっしゃる人は好きです。自分の顔に

コンプレックスを感じて、お金を用意して、失敗するリスクも

痛みもある手術を受けるってすごく勇気がいることだと思うんで、

むしろ尊敬してます」と返した。

「私もです」という返事が来た。

そういって彼女は一通の写真を送ってくれた。
それは彼女の目元だけのアップの写真だった。

Zさん「私...目の整形をしたんです...」

綺麗な目だった。

ただ本当に目しか見えないアップだったので顔は全くわからなかった。

 

僕はブスブサイクの苦しみを文章にしたかった。

でもそれ以上に若い女の子と話せるのがすごく楽しみだった。

 

僕「ちなみに...なんで整形をされようと思ったんですか?」

 

Zさん「醜形恐怖症になって外に出れなくなったからです...」

 

いい話が聞けそうな気がした。

 

彼女は今まで整形に100万以上かけてきた。
そして、これからも整形を続けるつもりらしい。

僕は「ブスで生まれた苦しみとか過去の恋愛についても話を聞きたいです」と言った。
そして、これは完全に個人的な趣味だが、

僕は女の子の首の匂いを嗅ぐのが大好きなので「話を聞かせて頂いた後

首の匂いを嗅ぎたいんですが大丈夫ですか(笑)?」と確認した。

「全然大丈夫ですけど良い匂いはしませんよ(笑)」と返ってきた。

 

そして「下ネタとか性的な質問もするかもしれません。

嫌だったら全然答えなくて大丈夫なので^^;」と伝えた。


彼女からは「下ネタは全然大丈夫です^ ^」と返ってきた。

 

僕は彼女と話をした後セックス出来たらいいな...と思っていた。

もし彼女がセックスをしたくないということであれば、

もちろんそれはそれでよかった。話を聞かせて頂いて、

その後匂いを嗅がせてもらったら大満足だった。

 

僕は個室の居酒屋を予約した。

 

2、3週間前の出来事なので忘れている会話や感情も多々あると思う。
でもなるべく正確に書きたいと思う。

 

 

ほとんど来たことがない街だった。


僕はこの街が好きではない。「汚い街」だと思う。犯罪率が高い気がする。

民度が低い気がする。僕の思い込みかもしれないし、

そんなこと言えるほどおまえはちゃんとした人間なのか、

と言われたら何も言い返せないが...

 

僕は残業で待ち合わせ時間に遅れそうになった。

僕『今仕事終わりました。。すいません!!
高速で◯◯に向かいます!!』

 

Zさん『お疲れ様です!
私もまだ着いてないのでゆっくりで大丈夫ですよ^ ^』

 

僕は時間ギリギリに待ち合わせ場所についた。

僕「着きました!」

Zさん「迷いました!笑  少し待っててください!」

 

その居酒屋はたしかに分かりにくい場所だった。
僕も何度も地図アプリを見て、ようやく分かった場所だった。

僕「全然大丈夫です(笑)
たしかにわかりにくい場所ですよね。。」

結果的に僕の方が先に待ち合わせ場所に着いたが、ここで彼女を待つのは怖かった。

遠くから彼女に見られて「うわ...あいつが中村か...キモ...」と思われるのが怖かった。

見られたくなかった。笑われたくなかった。発見されたくなかった。

評価されたくなかった。僕が見る側、見つける側、発見する側になりたかった。

僕は待ち合わせ場所から少し離れたコンビニに入って時間をつぶした。

彼女からメールがきた。

 

Zさん「もう居酒屋の中にいますか?」

僕「今外にいます(笑)すぐ行きます!」

Zさん「お店の入り口にいます!」

居酒屋はビルの4階にあった。

 

店の入り口に彼女がいると思うと、急に怖くなった。
怖くてたまらない。とても緊張した。

 

なぜか分からないけど僕はエレベーターを使わず階段を使った。

「これから女の子と会う」という心の準備ができていなかった。
「これから女の子と会う」という事実を自分の身体全体で受け止めてからでないと

怖くて会えなかった。そしてそれを受け止めるにはエレベーターは

速すぎて時間が足らないような気がした。
なによりも自分の身体を動かさないと、その恐怖を受け止められない気がした。
恐れながら、でもどこかでその恐怖を楽しんでいる自分を感じながら

僕は階段を上った。

 


こんなことを書いてるけど実際はエレベーターを使ったのかもしれない。

記憶が曖昧だ。
でも僕はたしか「階段を使った」ような気がする。
上記の理由で階段を使った...ような気がしている...

人間の記憶は本当にあやふやだ。

 

居酒屋の前に彼女が立っていると思うと、

急に「彼女」という存在が現実味を帯びて感じられた。

1人の女性が僕を待っているのだ。

そう思うと、とてつもなく怖かった。

でも同時に「1人の若い女性が僕に興味を持ってくれていて、

その子とゆっくり話せて、しかもその後匂いまで嗅げる...」と思うと

本当に嬉しくてたまらなかった。

 

僕「了解です^ ^  緊張して死にそうです。。」

Zさん「私もです。゜(゜´ω`゜)゜。」

僕は4階に到着した。

 

僕が階段で4階に着くと同時にエレベーターが開いた。

若いカップルがエレベーターから降りて居酒屋の入り口に向かった。

僕は彼らをなんとなく目で追った。

 

居酒屋の前に1人の女の子が立っていた。怖い。絶対あの子だ。怖い。

僕は彼女と目を合わすことができなかった。怖すぎた。

怖くて彼女の顔を一切見ることができなかった。

 

なにがそんなに怖かったんだろう?

 

僕は他人のふりをして彼女の前を通り過ぎようとした。彼女は明らかに僕を見ている。

視線を感じた。絶対この子だ。絶対にこの子だ。

そもそも居酒屋の入り口にはこの子1人しかいないんだからこの子でないはずがない。


僕は勇気を出して彼女の顔を見た。

 

 

僕が最も恐れていたことが起きた。
あるいは最も望んでいたことが。


めちゃくちゃ可愛い子だった。

 

は?って思った。


は?


信じられない。可愛すぎる。

なんなんだろうと思った。茶番だ。茶番。


「ブス過ぎて死にたい」とか「ブスだから鬱」と

いうつぶやきは一体なんだったんだろう?

可愛すぎる。


フジテレビの某アナウンサーに似ていた。
そして美人すぎる◯◯として有名な女性にも似ていた。

 

可愛い女の子に「ブスで生まれた苦しみ」を聞いて一体なんになるんだろう?

 

でももちろん怒りなんて全く無かった。

むしろこんなに可愛い女の子が僕に興味を示してくれたことが嬉しかったし、

これから話が出来て匂いまで嗅げると思うと、ただただ幸せでしかなかった。

 

僕「...え...Zさんですか...?」

 

Zさん「はい(笑)」

 

僕「...え...(笑)...あの...むちゃくちゃ可愛いじゃないですか(笑)
...え...どういうことですか(笑)?...

一連の「ブスで鬱」系のつぶやきは全部嘘だったんですね...(笑)」

 

Zさん「う...嘘じゃないですよ(笑)!私めっちゃブスですし(笑)
整形して少しマシになりましたけど前は本当にひどかったし>_<」

 

僕「いや...ほんとにタチ悪いですよ...(笑)...

でもこんな可愛い子に会えてめっちゃ嬉しいですけど...^ ^」

 

Zさん「(笑)」

 

僕らは店に入った。

 

僕「予約している中村です...」

 

店員さん「ご来店ありがとうございます。

ではお靴を脱いであちらの靴箱にお入れください^ ^」

 

僕らは靴を脱いで靴箱に向かった。

 

靴箱は木の板を抜くと鍵がかかる仕組みになっていた。
僕は普通に靴をしまった。

 

Zさん「...私...こういうの全くわからないんですよね(笑)...え...

これどうやって開けるんですか(笑)?」

 

僕「これは...たぶん...普通にこうすれば...開くと思います...^ ^」
そう言って僕は靴箱を開けてあげた。

 

Zさん「ありがとうございます(笑)私こういうのほんとに苦手で>_<」

 

僕「全然大丈夫ですよ(笑)」

 

店員さん「お席はこちらですね^ ^」

 

店員さんが案内してくれた席を見てビックリした。

めっちゃ個室だった。

いつもこういう話をする時は個室の居酒屋を予約するんだけど

こんな個室は初めてだった。引き戸までついていて、完全な個室だった。

 

そして店員さんも親切で礼儀正しかった。

 

僕らは向かい合って座った。

正直最初に何を話したのかあまり覚えてない...なんとか記憶を辿って書いてみます...

 

 

僕「めっちゃ綺麗ですね...本当にびっくりしました...」

 

Zさん「いえいえ...全然ブスです...整形して少しマシになりましたけど
...っていうか中村さんに整形前の写真見せましたっけ?本当にブスなんで...」

 

僕「まだ見せて頂いたことないです...見せてもらってもいいですか...?」

 

Zさん「見せますね...本当にやばいですよ(笑)」と言って

彼女はケータイで写真を探し始めた。

 

僕「ちなみに...Zさんっておいくつでしたっけ...?」

 

Zさん「20です^ ^」

 

彼女は大学2年生だった。本当は彼女が大学でどういう勉強をしているか

詳しく書きたいところではあるが、結構特殊な学部なので、

彼女の個人情報を守るためにも書かないでおく...

 

 

Zさん「これです...やばくないですか(笑)?」

 

彼女はスマホの画面を僕に見せてくれた。

正直普通に可愛かった。

 

僕「え...普通に可愛くない...(笑)?」

 

Zさん「え(笑)?可愛くないですよ...じゃあ...これはどうですか?」

別の写真も見せてくれた。

 

僕「いや...たしかに今とは変わってるけど...でも十分可愛いよ...」

 

Zさん「え(笑)...本当ですか?...」

 

 

...ん?

 

...え...?...

 

一瞬頭が真っ白になった。
もう既に話すことがなくなったことに気づいた。会って10分で。

こんなに可愛くて整形前も可愛かった子と一体何を話せばいいんだろう...

今日は「異性から見向きもされない苦しみ」や「醜い顔で生まれた理不尽」に

ついて話したかったんだけど...

 

僕「っていうか...    Zさん...今日僕...ブスブサイクで生まれた苦しみについて

話すつもりで来たんですけど...(笑)
もう既に話題が無いんですけど...(笑)Zさんマジでめっちゃ綺麗だし...」

 

Zさん「いや...(笑)それ本気で言ってます(笑)?本当ですか?」

 

僕「嘘なんかつかないです...(笑)マジで可愛いです。っていうか誰が見ても

普通に可愛いと思います。客観的に可愛いです」

 

僕「っていうかあの...美人すぎる◯◯のあの女性にめっちゃ似てる...名前忘れた...ちょっとググりますね...」

 

Zさん「え...誰だろ...」

 

僕「あ...この人です。うわ...めっちゃ似てる...めっちゃ似てません?」

僕は自分のスマホを彼女に渡した。

 

Zさん「え...似てますか?...自分ではわかんない^^;」

 

僕「いや...めっちゃ似てますよ...まじで可愛いです。やばいです」

 

僕「っていうかフジテレビのあのアナウンサーにもめっちゃ似てる...

名前がわかんない...」
僕は再度ググった。

 

僕「あ...この人です...めっちゃ似てません?...ってかこの子よりむしろ可愛いか...」

 

Zさん「それはないですよ~^^;」

 

僕「っていうか...その顔でブスを名乗るのはよくないですよ...(笑)

ブスを名乗る資格ないです。 あの一連のつぶやきも全部キャラというか

ネタだったんですね(笑)」

 

Zさん「いやいや...(笑)私小学校の頃から顔のせいでいじめられてきて...

◯◯◯◯ってずっと呼ばれてたんです...」

 

僕「それって小学校でよくありがちな、男子が可愛い子にあえて暴言を吐いて

気を引こうとする...みたいなやつじゃないですか?」

 

Zさん「違います。中学の時もそうでしたし高校の時も

容姿のことで散々馬鹿にされて...」

 

僕「まじですか...?」

正直この顔が原因でいじめられるとは思えなかった。

 

僕「ごめんなさい...ぶっちゃけ...    顔じゃなくて...

別に原因があるんじゃないですか(笑)?いじられやすい性格だったとか...」

 

Zさん「それはあるかもしれないですね...(笑)高校の時あまりに友達から

ブスって言われて...もう言われすぎて...外に出るのが怖くなっちゃって...

学校に行けなくなって中退しました...」

彼女は1年生で高校を中退した。

 

そして彼女は整形を決意する。

 

Zさん「もう自分の顔が嫌すぎて...日本の有名な整形外科に全部行って

カウンセリングを受けました」

 

僕「そうなんですね...なるほど...それは1番良い先生というか

信頼できる先生を探すため?」

 

Zさん「そうですね...やっぱり誠実なところもあれば売上優先の所もあって...

その見極めとかですかね...」

 

Zさん「当時16とかでお金も無かったんで、親に全額出してもらいました。

100万くらいかかりましたね」

 

僕「目をされたんでしたよね?」

 

Zさん「はい。 目を二重にしました」

 

僕「なるほど...でもここまで綺麗になれたんだから整形して大正解でしたね...」

 

Zさん「そうですね...してよかったです。これからもしますけど(笑)」

 

僕「今めっちゃ綺麗なのにこれ以上どこをするんですか?」

 

Zさん「◯◯ですね^ ^」

 

僕「え...そこめっちゃ綺麗じゃないですか(笑)なんでそこを直したいんですか?」

 

Zさん「気になるんですよね...(笑)」

Zさん「たぶん100万くらいかかるんで働いてお金をしっかり貯めなきゃですね...」

 

僕「それだけ綺麗だとめっちゃナンパされません?」

 

Zさん「何度かされましたね...」

 

僕「街とかで男からめっちゃ見られません?」

 

Zさん「見られます(笑)めちゃくちゃガン見されるようになりました(笑)」

 

僕「綺麗になれて人から見られるようになって、そういうのは嬉しいですか?

それともキモい?」

 

Zさん「怖いですね...」

 

僕「怖い?」

 

Zさん「やっぱり顔にコンプレックスがあるんで......

ブスだと思われて見られてるんじゃないか...とか思ってそれが怖いですね...」

 

僕「なるほど...」

 

彼女は大検に合格して大学に入学した。

 

僕「ちなみに...今後何か夢とかはおありなんですか?」

 

Zさん「いや...整形のことしか考えてないですね...整形して綺麗になりたいですね...

整形し尽くしても綺麗になれなかったらつらいですけど(笑)...」

 

Zさん「私...母親が厳しくて...子供の頃から『あんた本当にブスね』とか

『近所に恥ずかしいからその顔で外に出ないで』とか

日常的に言われて育ったんです...」

 

僕「え...?まじですか?...え...失礼ですけど...お母さん...やばくないですか...?」

 

Zさん「結構やばいと思います(笑)『外に出る時は必ずメイクして』とか

ずっと言われて来たんで...

それで顔に対する恐怖が子供の頃からあるんだと思います...」

 

正直僕は娘にそんなことを言う母親がこの世に存在するとは思えなかった。

信じられなかった。でも彼女は嘘をつくような人ではないから本当のことなんだろう。そんなこと言われて育ったら頭がおかしくなると思った。

 

Zさん「私の両親すごく仲が悪くて...

もう何年も両親が会話してるのを見たことないです...」

 

僕「え...そうなんだ...じゃあ...めっちゃ家の居心地悪くないですか?」

 

Zさん「悪いです(笑)はやく大学卒業して一人暮らししたいです」

 

僕は彼女の「私はブス発言」は「ちょっとしたギャグ」かと思っていたが

そうではなく、お母様の影響による本心の発言なんだと思った。

 

僕「話題は変わるんですけど...今彼氏さんとかはいらっしゃるんですか?」

 

Zさん「いないです...(笑)先月別れました(笑)」

 

僕「え...(笑)最近...(笑)」

 

Zさん「まだ傷が癒えてないです(笑)」

 

僕「ですよね(笑)...ちなみになんで別れたんですか?」

 

Zさん「彼は結婚願望があって...「結婚とか興味ある?」って彼から聞かれて...

私はまだ結婚に興味が無かったんで...正直に「興味ない...」って言ったら

「じゃあ別れよ...」って言われて...」

 

僕「え!?まじですか...」

 

Zさん「そうですね....私は別れたくなかったんで...好きだったんで...何度も

「別れたくない(>_<)」って言ったんですけど...彼氏が「もういい...」って...」

 

悔しかった。こんな可愛い子に好かれる男性が憎かった。

ただ、こんなに可愛くて性格も良い子が1人の男性に依存する姿が想像できなかった。

この子は「男から関心を持たれる側」の人間であって、フラれた後に

「別れたくない(>_<)よりを戻そう>_<」と男に懇願する側の人間には

どうしても見えなかった。


僕の知らない彼女を知ってる元彼が憎かった。
そして、こんな可愛い子に「別れたくない」とまで言われたのに

別れる男性って一体どんな人なんだろう?と思った。

うらやましかった。そして、Zさんは僕に対して

絶対そんな「弱い一面」は見せてくれないだろうと思った。
彼と僕の違い、差はなんなんだろう?

 

僕「Zさん...全然人に依存するタイプには見えないのに.....Zさんから

「別れたくない」って言ったんですね...めっちゃ意外...

フラれるタイプには全く見えない...」

 

Zさん「私めっちゃ依存しますよ...(笑)めっちゃ引きずりました...

学校行っててもずっとそのこと考えてました(笑)」

 

僕「...まぁ...そうなりますよね...ちなみに彼氏とはどこで出会ったんでしたっけ?」

 

Zさん「バイト先の先輩ですね^ ^」

 

僕「なるほど...ちなみにその人が初めての彼氏ですか?」

 

Zさん「2人目ですね^ ^」

 

僕「へ~ 初めての彼氏はいつだったんですか?」

 

Zさん「...中学生の時ですね...(笑)」

 

僕「早...(笑)...えっと...(笑) 中学時代はブスでいじめられてたんですよね...?」

 

Zさん「そうです(笑)いじめられてました^_^;」

 

僕「なるほど...ちなみにどういう経緯で付き合ったんですか?」

Zさん「.........告白されて...^^;」

僕「...あの...死んでもらっても大丈夫ですか(笑)?」

 

Zさん「(笑)」

 

僕「ちなみに...最近別れた彼氏の話に戻るんですけど....彼氏とは会話が無くても

気まずくないというか...良い意味で気を使わない関係だったんですか?」

 

Zさん「そうですね...会話が無くても全然平気でしたね...」

 

僕「よく会ってたんですか?」

 

Zさん「かなり会ってましたね^ ^」

 

僕「僕女の子と付き合ったことないんで彼氏彼女の関係がよくわからないんですけど、そんなに会ってもすること無くないですか?会って何してたんですか?」

 

Zさん「一緒にTVゲームしたりとか............あと......私......セックスが.........めっちゃ好きなんですよ...(笑)」

 

僕「...え(笑)...?」

 

Zさん「...はい...(笑)...だから生理の日以外はほぼずっと

会ってしてましたね...(笑)」

 

僕「え(笑)...やば(笑)...」

 

恥じらいながら「セックスが好き...」と言う彼女は本当に可愛かった。

 

ん?

 

え?

 

私...セックスがめっちゃ...好きなんですよ......?

 

え...それは...「中村さんとセックスしてもいいですよ^ ^」ってことなのか...?

 

むしろ...僕とセックスがしたい......ってこと...?


僕はセックスしたかったけど自分から言うのは怖かった。怖すぎた。
「あの...ごめん...本当に申し訳ないんだけど...この後ホテル行ってもいいですか...?」

とか「ごめん...朝まで一緒にいたい...」とか本当は言いたかった。


でも拒絶されるのが怖すぎた。

「キモ...そんなつもり全くねえから...まじでキモいわ...」って思われるのが怖かった。


自分だけがセックスを考えていて、彼女はセックスのことを一ミリも考えていない、

その差を現実で見せられるのが怖すぎた。

 

彼女から誘ってくれたらいいな...そんなことを考えていた。

 

僕「じゃあ初体験はその元彼?」

 

Zさん「ですね。だから経験したのは元彼1人だけです」

 

僕「そうなんですね...ちなみに...1人でされることって...よくあります?」

 

Zさん「...(笑)...いやほとんどしないですね...今まで1、2回ですね...」

 

僕「ちなみに...どういう時にするんですか?

1人でベットにいる時とか?なんとなくムラムラした時に...みたいな?」

 

Zさん「ですかね...っていうかほとんどしないんでよく分かんないです(笑)」

 

 

Zさん「っていうか中村さんも...ブログと全然印象違いました^ ^
全然ブサイクじゃないじゃないですか(笑)
むしろちょっとカッコよくないですか(笑)?◯◯に似てません?」

 

僕は嬉しいような恥ずかしいような気持ちになった。

もちろんお世辞であることは僕が一番わかっていた。


僕の容姿に関する話は早く終わらせたかった。
自分の顔について喋りたく無かったし言及されるのもしんどかった。

恥ずかしかったし、めんどくさかったし、どうリアクションしていいか

分からなかったし、戸惑っている僕を誰かに観察されているようで、

あまり気持ち良いことではなかった。

 

僕「はいはいはいはい...ブサイクだから。似てないから(笑)

全く似てないから...そういうディスはやめて(笑)」

 

Zさん「ディスってないですよ(笑)」

 

僕らは既に3時間くらい話し続けていた。

彼女は実家暮らしだ。

 

僕「あっ...ていうかごめん...長時間付き合ってもらってごめんね...今日はありがとう。めっちゃ楽しかった。遅くなるとお母さんに怒られるよね。ごめん>_<」

 

僕は本当は彼女と泊まりたかった。セックスをしたかった。朝まで一緒にいたかった。だけど自分から誘って「キモ...勘違い男痛...結局コイツ最初から

セックスのことしか考えてなかったのね...キモ...」って思われるのが怖かった。

 

そんなことを思われるくらいなら誘わずに、

彼女の匂いをかぐことが出来れば十分大満足だった。

 

Zさん「大丈夫です^ ^母親は厳しいんですけど門限に関しては全然ゆるいので(笑)

朝帰っても何も言われません^ ^」

 

僕「...そうなんだ...へぇ~...」

 

ん?

 

ん?

 

朝?

 

朝帰っても......何も言われない...?

 

ん?

 

それは...「今日は泊まっても大丈夫です^ ^」...ということなのか?


朝まで一緒にいたい...セックスしてもいい...むしろしたい...ということなのか?

 

わからない...そうとしか考えられない気もするし
全て僕の勘違いなような気もする...

 

Zさん「トイレ行ってきますね^ ^」

 

僕「はい^ ^」

 

僕は女性と2人でご飯を食べている時女性がトイレに行くと、

いつも「トイレで何をしているんだろう?」と思う。

 

女性は本当に美しくて綺麗で怖い生き物だと思う。
女性が何を考えているのか僕には全く分からない。

 

僕は彼女がトイレに行っている間に会計を済ませた。会計中に彼女が戻ってくると

気まずいので、さっさと店員を呼んで「お会計お願いします^ ^」と伝えた。

店員さんはわりと早く来てくれた。会計は思っていたより安かった。
支払いが終わって店員が部屋を出た。よかった。

彼女が戻って来る前に会計を終わらせられた。

 

彼女が戻ってきた。

目の前にいるこんなに可愛い女の子の首の匂いを嗅げると思うと本当に興奮した。

嬉しすぎた。

 

僕「僕もトイレに行ってきますね...あと...トイレから戻ってきたら...

本当に申し訳ないんですけど...例の...匂いを嗅がせて頂いてもいいですか...?」

 

Zさん「...大丈夫ですよ(笑)...」

 

僕「ありがとう...」

 

僕はトイレに行った。おしっこをした後鏡を見る。

 

相変わらずブサイクな顔だ。でも仕方ない。

これが僕なんだ。これが僕...これが僕なんだ...

僕は自分のブサイクさに少し愛着すら持てるようになっていた。

そんな自己愛を感じつつ僕はトイレを出た。

 

部屋に戻った。

 

僕「ごめんね...」
自分の席ではなく彼女の隣に座る。

 

僕「ごめん...首の匂い...嗅ぐね...?」

 

Zさん「はい...絶対良い匂いしないですよ...(笑)」

 

なんでこんな可愛い女の子の首の匂いを合法的に嗅げるのか僕にもよくわからない。

 

この瞬間が1番興奮する。女性の首の匂いを嗅ぐ瞬間。
「嗅いでもいい」という同意が得られて、目の前にその女性がいる瞬間。

今までの人生において、僕という人間に全く興味を示さなかった「綺麗な女性」

という存在が僕に少し心を開いてくれて「匂いを嗅ぐ」という気持ち悪い行為を

許してくれた瞬間。

 

女性は絶対に服を着ていなければならない。服は社会的記号だ。

僕を馬鹿にして、僕に全く興味を示さなかった「若い女性」という生き物。
彼女たちと僕の間には普段は境界線が引かれている。

僕はそこを越えることが出来ない。住む世界が違うから。

でもごく稀になぜかその境界線を「越えてもいい」と許可される時があって、

今がその時だ。普段は許されないこと、してはいけないことを

今はしてもいいという、ルールからの逸脱に対する興奮。


優しくて怖くて...少し暴力的で...でも...とても気持ちいい。

 

僕は彼女の隣に座った。彼女の首の匂いを嗅ぐ。

 

最高の香りだった。香水なのかヘアスプレーなのかボディソープなのか

元々の匂いなのか、全く分からないけど、本当に良い匂いだった。

そしてほんの少し汗の匂いが混じっていてエロいの一言に尽きた。

 

僕「やば...ちょっと...ごめん...めっちゃ...良い匂い...やばい...」

 

Zさん「ほんとですか(笑)?」

 

僕「やば......ごめん...最高すぎる...」

 

僕「やば...ごめん...髪の匂いも嗅いでいい?」

 

Zさん「いいですよ^ ^」

彼女の黒髪に鼻をうずめる。これ以上の幸せが人生にどれだけあるだろう?

 

僕「ごめん...手つないでもいい...?」

 

Zさん「いいですよ^ ^」

 

手を繋いだ。僕は女性と手を繋ぐのが大好きだ。
街中で手を繋ぐのは嫌い。恥ずかしい。
何が楽しいのか全くわからない。

 

誰にも見られていないところでこっそり手を繋ぐのが本当に大好き。

彼女の手は柔らかかった。

 

僕「なんかごめん...甘えてばっかでごめんね...後ろから抱きしめてもいい...?」

 

Zさん「うん^ ^」

彼女を後ろから抱きしめた。

彼女の首の匂いを嗅ぎながら両手で彼女を抱きしめた。
幸せすぎた。

 

僕「ごめん...幸せすぎて...しばらく無言でこうしててもいい?」

 

Zさん「いいですよ(笑)」

 

どれくらいそうしていただろう。

 

彼女の胸を揉みたいと思った。

 

僕「ごめんね...胸触ってもいい...?」

 

Zさん「いいですよ^ ^」

 
彼女の胸を触った。たしか左手で。優しく揉んだ。

 

僕「...あぁ...やわらか......やば...」

彼女の綺麗な脚が見えた。

 

僕「これって...下が空いてるズボン...?」

語彙力...

 

Zさん「...普通に...スカートです^^;」

 

僕「ごめん...触るね...」

 

普段なら絶対触ってはいけない場所...してはいけないことをしてもいいという興奮。

僕は彼女の白くて綺麗で細い、でもやわらかそうな太ももを触った。

 

内ももを触る。

 

僕「やば......」

 

僕「ごめんね...中に手いれてもいい...?」

 

Zさん「うん(笑)」

 

僕は彼女のスカートの中に手をいれた。彼女のうち太ももを触る。


本当にやわらかい。

 

「服」という社会的記号、そして「ご飯屋さんの店内」という日常の中で

こういう行為をすることに興奮が生まれるんだと思う。

 

パンツの上から彼女の性器を触る。左手で優しく触る。


彼女の性器の感触があった。温かくて柔らかい。

 

この個室は扉以外は全てが窓になっていた。窓の外には美しい夜景が広がっていた。

彼女の性器をパンツの上から触っている僕に突然美しい夜景が飛び込んできた。

 

夜の街を歩く無数の人々が僕の視界に入った。

 

その瞬間なぜか我に返った。
僕は部屋の天井を見渡した。

 

僕「っていうか...ごめん...こういう居酒屋ってカメラとかついてるのかな...?」

 

もしカメラがあったとしたら、居酒屋の個室でこういう行為をするのはいささか問題があるんじゃないかと思った。僕は自分の行為が見られることより、

こういうことをされている彼女をカメラで居酒屋の店員さんが見て

楽しんでいるのではないか、そんな妄想が一瞬で広がって、あせりと、

それを見ている居酒屋の店員さんに対する嫌悪感、

気持ち悪さを感じた。実際にカメラがあったのかどうかは全く分からない。

 

Zさんは「無いと思いますけど...でもヤバイですね^^;やめましょう^^;」と言って

脚を閉じた。

 

僕は「ごめんね...」と言った。

僕は最後にもう一度彼女の首の匂いを嗅ぎながらこう言った。

 

僕「ありがとう。今日は本当に楽しかったです。本当にありがとう。

わがままばっか言ってごめんね^ ^ありがと..」

 

正確に言うと、こう僕が言ったのか、それとも言おうとして

言わずに終わってしまったのかよく覚えていない。

 

次の彼女の一言にインパクトがありすぎて記憶が結構飛んでしまっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

Zさん「...ホテル行きます...(笑)?」


一瞬凄まじい沈黙が流れた。

一瞬とてつもなく気まずかった。

なぜか即答できなかった。僕が最も望んでいた言葉のはずだった。

僕は彼女の首の匂いを嗅いでいたので、彼女の表情は見えなかった。

どんな表情で彼女がこの言葉を発したのか僕には分からない。


僕が最も望んでいた言葉。
そして最も恐れていた言葉だ。

 

僕はビックリしすぎて一瞬言葉が出なかった。

僕が最も言いたくて言えなかった言葉。

僕はなんて返したんだろう。数日前まで覚えていた気がするんだけど

今では思い出せない。その時どんな感情だったかもあまり思い出せない。

でもたぶん僕は「...いいんですか...?ごめん...ありがとう...甘えてばっかでごめん...」

そんなことを言ったと思う。

 

僕「泊まります...?今から行くともう終電無くないですか...?」

僕は泊まりたかった。まだ彼女とたくさん話したかったし、

彼女と朝までゆっくりしたかった。彼女の存在を朝までしっかりと感じていたかった。

 

Zさん「...たぶん急げば...終電乗れますね...」

 

彼女が泊まることに対して微妙な反応を示したので僕は
「了解です^ ^じゃあその時に適当に決めますか^ ^」と言った。

 

Zさんは「そうですね^ ^」と答えた。

僕らは居酒屋を出た。

 

少し話を変える。

僕は以前書いた通り肉体労働系の職場で働いている。だから女の子と接する機会は

ほとんどない。だけどたまに事務の女の子と話す機会がある。

 

その子はいつもマスクをつけている。僕は今の職場で働いて1年以上経つが

その子がマスクを外すのをつい最近まで見たことが無かった。
その子の目しか見たことがなかった。彼女はどんな時でもマスクを外さない。

彼女が飲み物を飲む姿すら見たことがなかった。

 

彼女はとても可愛かった。もちろん目しか見たことはなかったが。
目がとても綺麗でアイドルのようだった。

 

数日前、僕が仕事を終えタイムカードを押すために事務所に戻ると彼女がいた。

いや正確に言うと、お茶を飲んでいる女性がいた。
女性は慌ててマスクをつけた。

 

彼女だった。びっくりした。目から下は想像と全く違っていた。

本当に失礼で申し訳ないが「おばさん」だった。
マスクをつけて目だけしか見えていない時の彼女は20歳前後に見えた。

しかしマスクをとると30代に見えた。

 

ビックリすると同時に苦しくなった。彼女の心の傷が伝わって来た。
彼女は生まれてから今まで何度鏡を見たんだろう。
何度鏡を見て、何度自分の顔に嫌悪感を抱いたんだろう?

そして目だけがとても可愛いことがさらに僕を苦しくさせた。

彼女は理不尽を感じただろう。

「目は可愛いのになんで鼻や口がブスなんだろう?」と。

その痛みが伝わってきて苦しくなった。

 

以前職場の飲み会で彼女の話題になったことがある。

「事務の女の子の中で誰が可愛い?」という話題になったのだ。

僕は正直この手の話題があまり好きではない。

子供の頃からこの手の話題が苦手だった。

 

男性が主体となって上から目線で女性を選んでいる感じが

どうしても好きになれなかった。

「おまえは何様なんだ」と思った。
「おまえに女性を選んだり偉そうに判断する権利があるのか?」
「それはみんなの前で口に出すことじゃなくて

個々が勝手に心の中で思えばいい」そう思った。

 

女性が「こっちから願い下げだ」と断りたいような男に限って、

この手の話を大声でする傾向がある...と思う。

僕は居心地の悪さを感じながらも無愛想に聞いていると感じが悪いので

適当に相槌を打ちながら聞いていた。

 

彼女の名前が出た。

「いつもマスクしてるあの女の子可愛くね?」

「たしかに可愛いですね~」

誰かが「マスクをとっても可愛いんですかね~?」と聞いた。

一瞬奇妙な沈黙が流れた後「可愛いよ^ ^普通に可愛い^ ^」と中年の男性が言った。

僕はそれを普通に信じた。

 

その後「マスクをとった所をほとんど見たことがない」という話になった。

そして「セックスの時全部脱いでもマスクだけはとらないんじゃないか(笑)?」と

誰かが言って何人かが爆笑していた。

 

僕はその話の何がおもしろいのか全く理解できなかった。何がおもしろいんだろう?

暴力的な会話だった。悪口が怖かった。本人さえいなければ人はここまで

悪口を言えてしまうんだと思った。彼女ですらここまでのことを言われるんなら、

僕は普段顔や性格についてどれだけの人に悪口を言われているんだろう?

悪口を言っている男性達が普段とても優しくて

良い人達であることが僕を余計苦しくさせた。

当然のことではあるが、どんな良い人間もある種の暴力性、攻撃性を持っているのだ。

 

それが怖くて不気味でたまらなかった。

 

僕はその時は「何がおもしろいんだろう?」

「さすがにセックスの時はマスクとるだろ...」ぐらいの感想しか持たなかった。

その時は彼女を「可愛い」と思っていたから。
目から下を見たことがなかったから。

 


彼女は本当にセックスの時もマスクをとらないのかもしれない。

苦しかった。彼女の心の傷。

 

それを誰が笑えるだろう?誰に笑う権利があるだろう?
自分の顔が嫌いで人前でマスクがとれなくなった彼女を。
セックス中でもマスクをとらない彼女を誰が笑えるだろう?

 

最近彼女と少し話す機会があった。

僕がタイムカードを間違えて打刻してしまって、

どうしていいか分からず戸惑っていると彼女がやってきた。
そしてタイムカードの打刻について優しく教えてくれた。僕はお礼を言った。

彼女は本当にとても良い人だった。

 

僕はマスクをとった彼女を見てから彼女により好感を抱くようになった。

 


でも1つだけ分からないのは...マスクをつけるメリットだ。
目が可愛くて鼻口がブサイクでマスクで隠したくなる心理はわかる。
でもそれは食事中などに必ずとらなければならない。

僕だったら...マスクを外した時に周囲から「うわ...あんな顔なんだ...」って

ガッカリされるのが怖いから、逆にマスクはつけられない。

最初から全てを見せたいと思う。

「絶対にがっかりされることがわかっているのにマスクをつける心理」がわからない。「一瞬でも他人に見られるのが嫌」ということなんだろうか...

どなたかご存知の方がいらっしゃったら教えてください...

 

僕らは居酒屋を出た。

スマホでラブホを検索する。ほとんど来たことのない街だから

位置関係がよくわからない。


タクシーを探しながら彼女に質問する。

 

僕「Zさんって好きな漫画とかあります?」

 

Zさん「私はわりと少女漫画が好きですかね^^;ザ女の子って感じの漫画が好きです^ ^」

 

僕「そうなんですね~ 少女漫画か...なるほど...

ちなみに好きなテレビ番組とかあります?」

 

Zさん「○○が好きなんですよね~毎回見てます^ ^」

 

その番組は正直僕がめちゃくちゃ苦手な番組だった。一度しか見たことないけど

正直何がおもしろいのか全くわからなかった。どこで笑えばいいのか

何を笑えばいいのか。全くわからなかった。

 

そう伝えると「そうですよね(笑)あの番組かなり変わってますよね。

でも何度か見て慣れるとおもしろいですよ^ ^」と彼女は言った。

 

僕らは街を歩いてタクシーを探したけどタクシー自体がなかなか見つからなかった。

空車があっても遠くて、僕らの存在を認知してもらえなかった。

ようやく一台のタクシーが見つかって僕らはそれに乗り込んだ。

 

僕「近くて申し訳ないんですけど...」
僕は運転手に住所を伝えた。

 

夜遅くに働いてるタクシー運転手にラブホテルの住所を伝えるのは、

あまり褒められたことではないように思えた。

でも僕はこの街のことを全く知らないし、

目的地に行くには住所を伝えるしかなかった。

 

ラブホテルの住所を伝えること(もちろん住所しか伝えてないが、

ベテランの運転手さんだと住所からラブホテルであることがなんとなく

分かるのではないだろうか?)で運転手が「この子はこれからセックスするんだ...

ゴクリ...」みたいな感じで彼女を舐めまわすように見るのではないか...という恐怖があった。女の子が他の男性から性的な目で見られるのが嫌だった。怖かった。

男が女性との性行為や裸を想像するのが本当に嫌だった。

知り合いの女性が対象にされていたら尚更だった。

 

「想像の中でのセックス」から彼女達を守りたかった。
男達の想像の中で彼女たちはセックスをさせられているのだ。

 

 

自分が性の対象になっているとは全く知らない無垢な女性と、

想像の中でセックスをしている男性が気持ち悪かった。

 

彼らは職場の女性や女友達とのセックスを想像してオナニーをするのだ。

彼らは何の罪悪感も感じずに彼女達とのセックスを想像して射精する。

 

そして次に彼女達と会う時、何食わぬ顔で普通に世間話をするのだ。

「日本コロンビアに勝ちましたね^^大迫半端ないですね(笑)」などと言いながら。女の子は「すごかったですね^^」なんていう可愛い相槌を打つんだろう。

まさか目の前の男が自分とのセックスを想像してペニスをしごいて射精してるなんて

思ってもいないだろう。

 

そして男はしょうもない世間話をしながら心の中では

「彼女を性的に支配したことに対する喜びや征服欲」を感じているのだ。

 

彼らは想像の中で女性を無理矢理犯しているのだ。

 

男はどこまで気持ち悪い生き物なんだろう?

死んで欲しかった。

 

 ☆

でももちろん僕に彼らのオナニーをやめさせる権利は無かった。
彼が脳内でなにをしようが、それは彼の自由だった。

彼が世界を破壊しようが何をしようが『脳内』であれば彼の自由だった。

 

そして一番の問題は「実際に喋ってみると、彼が普通に良い人なのかもしれない」

ということだった。「バイト先の女の子とのセックスを想像して

オナニーをしている男」が「生涯犯罪とは無縁の心優しい男で

普通に良い人である」可能性もあった。全然あった。

 

僕はそれが怖かった。「暴力的な想像をしている人間が実は普通に良い人」であることと「穏やかな男性が裏で暴力的な想像をしている」ということが怖くて仕方なかった。


僕は男性が大嫌いだった。

男性の暴力性、攻撃性が本当に怖かった。

 

運転手は「お客さん...これ完全に逆方向だね^^;グルっとまわらなきゃいけないよ...」

と言った。

 

僕はホテルの場所も交通ルールもよくわからなかったのでとりあえず

「あ...そうなんですね...すいません...」とだけ言った。

「逆方向なのは分かったから、とっとと目的地まで行ってくれ...」と思った。

 

僕「Zさんはこの街によく来るの?」

 

Zさん「いやあんまり来ないですね」

 

僕「そうなんだ」

彼女は話しやすかった。余計なことを言わず、質問に対して

きちんと答えてくれる女の子だった。

 

優しかったしとても性格がよかった。育ちが良いというか、しっかりとご両親から

愛されて育った女性という印象だった。

 

運転手「車はこれ以上入れないので...あとはこの道を歩いたらすぐです」

僕「ありがとうございます^ ^」

 

料金はびっくりするぐらい安かった。

僕らはタクシーを降りた。

いかにも「いかがわしい通り」だった。

ラブホがどこにあるのか全く分からないけど、とりあえず通りをまっすぐと進んだ。キャバクラや居酒屋を通り過ぎた。人気はあまりない。
仕事終わりのサラリーマン達とすれ違う。

 

すぐにラブホテルがあった。

 

僕「...よくわかんないけど...ここでもいい?」

 

Zさん「大丈夫です...^ ^」

 

ホテルに入る瞬間はいつも緊張する。

 

入るとすぐにでかいパネルがあった。
押せるボタンがない。どうやら満室のようだった。

どうしていいかわからずとりあえず受付に行く。

ラブホテルの受付とは思えないほど、穏やかで礼儀正しい女性だった。

50代ぐらいだろうか。学校の優しい先生という感じだった。


彼女はどういう経緯で「ラブホテルの受付」になったんだろう?

 

受付「今満席でして、あと10分でお部屋が空きます。宿泊ですか?休憩ですか?」

僕は泊まりたかった。でもとりあえず彼女のほうを見た。

 

僕「どっちにします^ ^?」

 

Zさん「どうしよ...じゃあ...とりあえず...しゅくは...?」

 

僕「...宿泊にしよっか...」

 

僕「すいません。じゃあ宿泊で...」

 

受付「ではあちらの部屋でお待ちください^ ^」

 

そこは部屋が空くまでの待機室みたいな感じで、カーテンがついていて、

部屋に入るとソファとテレビがあった。

 

待機室なんかあるホテルは初めて...ってその時は思ったけど、今考えたら

「ホテルで満室だったこと自体が初めて」だった。

たぶんどのラブホにも待機室はあるんだろう。

 

2人でソファに座ってテレビを見た。NHKのニュースだったような...

世界の果てまでイッテQだったような...別の番組だったような...思い出せない。

普段テレビをほとんど見ないのでテレビ番組が凄く新鮮だった。

 

受付「○○号室でお待ちのお客様~」

待機室を出て受付に向かう。

 

受付「宿泊代金○○円になります」

お金を払って鍵をもらう。

 

僕らはエレベーターに乗った。

鍵をあけて部屋に入る。

 

僕「お~」

普通の部屋だった。

 

Zさん「え~ 広~(笑) すごい~」

Zさん「私ラブホ1回しか来たことないんですよ~ こんなに広いんですね~ 綺麗^ ^」

 

気に入ってくれたみたいで良かった。

 

僕はなんとなくテレビをつけた。普段全く見ないからなんとなく見たかった。

 

カバンを床に置いて、僕は歯を磨くために洗面所に行った。

彼女はベッドの中央に座っていた。

無言だけど心地良い時間だった。彼女はテレビを見ていた、

もしくはケータイをいじっていた。まだ会って数時間しか経ってないのに無言でも

「ある程度は」平気な関係になっていたことが嬉しかった。

 

僕はホテルに着くと、いつもたいていすぐに歯を磨く。

この後キスをしたりする時に「臭っ...」って思われるのが怖いからだ。
あとは「僕は歯磨きしますよ...」というのを女性に認知させたい...という思いもある。キスする時に「そういえばこのゴミ男...歯磨いたっけ?」って女の子から

不安に思われて、女の子の不安そうな嫌そうな顔を見るのが怖いので

「歯を磨きましたよ」という事実をなんとなく女性に分からせるようにしている。

 

深い意味は無いのだが、なんとなくみなさんに聞きたい。
「ご飯を食べた後セックスする時あなたは歯を磨きますか?」

僕は100%する。みなさんはどうなんだろう?
僕の統計(僕の記憶違いもあるだろうが)によると

「60~70%の女性は歯を磨かない」気がする。あくまで僕の記憶では。

 

特に僕が今までセックスした女性に

特殊なバイアスがかかっているわけではないと思う。

正直僕としてはあまり気にならない。というのも食事後歯磨きをしていない女性と

キスをしてもなぜか全然臭くないからだ。今まで臭かったことが一度もなかった。

だから全然僕としては気にならないのだが、でもそこで歯磨きをする女性と

しない女性の違いというか、心理が気になった。


なぜある女性は歯磨きをして、ある女性はしないのか。

 

話を元に戻す。

僕はなぜか分からないが、いきなりベットの上で話すのがあまり好きではない。

ソファとかで話して手を繋いだり、首の匂いをかいだり、身体を触ってから、

ベットに行きたいのだ。

なんかいきなりベットに行くのが非常に「もったいない」ような気がする。

服を着ている時「女性という記号を身にまとっている時」が

一番女性は魅力的だと思うから。もちろん裸は裸で魅力的だけど。

傾向として服を着ている時が一番エロいというか興奮するので。

これは僕の個人的な傾向かもしれないが。

 


ベットの上でテレビを見ているZさんに
「ごめん。ちょっとこっちに来てもらってもいい^^;;?」と言った。
彼女は「うん^ ^」と言って僕の隣に来てくれた。

そこで何を話したのか全く覚えていない。人間の記憶には限界がある。

 

たぶんソファでキスをしたと思う。
キスをする時僕はいつも許可をとる。
たぶんそれは女の子を気遣ってではなく、いきなりキスをして

女の子が嫌がる顔を見るのが怖いからだと思う。「あなたとキスするのはきついです」みたいな表情をされると凄くへこむので、それを回避する為に

事前に一声かけてるんだと思う。

 

僕「ごめん...キスしてもいい...?」

Zさん「うん...」

 

いまだにキスの仕方がわからない。どんな風にキスをすればいいのか、

舌はどうすればいいのか全くわからない。

「こいつキス下手だな...」って思われてそうで怖い。

過去の男性と比較されるのが怖い。

今舌を出せばいいのか、動かしたらいいのか、絡めたらいいのか、全く分からない。

歯磨きをしてないのに彼女の口からは、さっき食べたご飯の匂いが全くしてなくて

それがすごく不思議だった。なぜ臭くないんだろう?

 

僕「ベッド行く...?」

Zさん「うん...」

 

僕らはソファからベッドに移動した。

僕はいまだにセックスのことが何一つわかってない。

本当に何一つわかってない。

 

僕「...ごめん...じゃあ...服...脱いでもらっていい...?」

Zさん「うん...」

 

どういう順番で彼女が服を脱いでくれたのか、細部までは思い出せない。

 

一つ覚えているのは途中で僕が履いていたスーツのズボンの股間に

大きなシミがついていた、ということだ。いわゆる我慢汁だ。

彼女の匂いをかいだりキスをしているうちにおそらく僕のちんちんから

大量の我慢汁が出ていたんだろう。その大きなシミを見つけた時

すごく恥ずかしくなって、自分から

「Zさん...ちょっとおもしろいこと言っていいですか(笑)?」と言った。

僕は「これ...やばくないですか(笑)?」と言って股間についている

特大のシミを見せた。

彼女は笑ってくれた。

 

僕も服を脱いだ。僕らは全裸になった。

僕は持参したローションを彼女の性器につけた。

どうすればいいのか全くわからなかった。

 

とりあえず彼女の性器を優しく触ってみた。中指を中に入れてみる。
中に入れて上側を優しく触ると良いってなんかの本に書かれてた。
やってみる。

 

その時の彼女のリアクションは覚えていない。

僕はどうすればいいのか全く分からなかった。
セックスにおいて何が正解なのか、彼女が何を求めているのか。
僕はいい歳してまともなセックスもできない。

 

僕「ちなみに...彼氏とは...どういうセックスをしてたんですか?」

 

Zさん「もういきなりいれるって感じですね(笑)」

 

僕「なるほど(笑)」

 

僕は彼女のこの言葉を「前戯は不要です^ ^好きじゃないです^ ^」と解釈した。

何をどうすればいいのか分からなかったので、

方向を示してくれた彼女の言葉はありがたくもあった。

僕はコンドームをつけた。とれないようにしっかりとつける。

 

僕「...痛かったらすぐやめるから言ってね...>_<」

僕は恐る恐る彼女の中に入った。ゆっくりと入れる。

 

僕「痛くない...?」

 

Zさん「痛くない...あ...やば...気持ち良い...やばい...」

僕は完全に奥まで入れた。

 

僕「痛くない...?」

 

Zさん「うん...痛くない^ ^」

 

なんかの本に「最初は完全に奥まで入れたら動かずにじっとしとくのが良い」と

書かれていたので僕はその通りにした。

 

しばらく動かずに、彼女の耳や首や胸にキスをした。

とても気持ち良かった。

 

そして僕は腰を動かした。

 

彼女は「...あ.................あん......」と本当に感じてくれているように見えた。

演技ではないように思えた。嬉しかった。

でも女性の演技は本当に上手いし、彼女は気持ちいいフリを

してくれていたのかもしれない。それは僕には分からない。

 

とても気持ち良かった。


とても気持ち良かったけど...「イケない...」と思った。

 

今から書こうとしていることは...いろんな意味で...書くべきなのか書かないべきなのかよく分からない。

 

でももう「書く」と決めてしまっている。これを書くことが正しいことなのか

正しくないことなのか...あるいはどうでもいいことなのか、僕にもよく分からない。

 

でもとりあえず書いてみたい...

 

僕はツイッターを約3年前に始めた。主に「生きることの大変さや理不尽さ」についてつぶやいていた。たしか始めて1年半くらいで4000人くらいのフォロワーが出来た。

そして途中から僕は恋愛についてもつぶやくようになった。彼女が出来たことがなく、女性とまともなコミュニケーションをとったことがない僕にとって恋愛は憧れだった。恋愛をすれば自分のつまらない人生が変わるかもしれない。

そして僕は誰かと深い信頼関係を築いてみたかった。

誰かを深く愛したり愛されたらどんな気持ちになるんだろう?

純粋にそれが気になった。
そしてもちろん性的な欲求もあった。
誰かとセックスをしてみたかった。

 

ある日一通のメールが来た。20代の女の子からだった。

「中村さんの恋愛に関するツイートに共感しました。会いたいです。

中村さんがしたいならセックスしてもいいです」要約するとこんな感じだった。

僕は女の子と話したかったし会いたかった。セックスもしたかった。

会ったらとても可愛い子だった。セックスをした。とても楽しかった。

そのやりとりをツイートしたりブログに正直に書いたら、いろんな方から言及されて、ウケて、フォロワーはどんどん増えた。そしていろんな女性から

「会ってみたいです。セックスしてもいいです」というメールを頂いた。

僕はたくさんの女性とセックスをさせて頂いた。とても楽しかった。

フォロワーはピーク時14000人くらいいた。今は10800人だ。

たった数ヶ月で3000人以上減った。「おもしろい」と言われ、もてはやされ、

それが終わる瞬間というのは結構切ない。その虚しさは経験した人じゃないと

分からないかもしれない。


今では僕に連絡をくれる人は皆無になった。

 

いや、こんな話がしたかったんじゃない。
別に僕は同情してほしいわけじゃない。

 

僕は...そのほとんどの女性とのセックスでイクことが出来なかった。

なぜか分からない。本当になぜか分からない。気持ちいいけどイケないのだ。

イケないのは気まずかったし、なんとも言えない空気が流れた。

どうしていいのか分からなかった。挿入して、少し腰を動かしたら

「イケそうかどうか」が分かった。

イケそうな時はほっとしたし「やばい...今日はイケない...」ということが

分かった時は本当に絶望的な気持ちになった。腰を振りながら

「うわ...どうしよう...どうすればいいんだろう...」と思った。

 

そして...僕は...なぜか分からないが...この悩みを...本当になぜか分からないけど...

職場の女の子に言った...

 

彼女は事務の女の子だった。たまたま仕事終わりに帰るタイミングが一緒になって

僕らは少し話すようになった。

 

彼女は知的で綺麗な女の子だった。僕より少し年上で、なんていうか、

誰からでも好かれる女の子だった。彼女は僕のしょうもない冗談によく笑ってくれた。聞き上手だった。だから僕も調子に乗っていろんなことを話した。

彼女はいつも笑ってくれて、そのうち彼女も自分の趣味の話や

価値観を僕に話してくれるようになった。

 

ある日久しぶりに彼女と一緒に帰った。

たまたま仕事が終わるタイミングが一緒だったので。
彼女はいつも仕事帰りに近くの喫煙所でタバコを吸って帰るらしい。

僕は彼女と話したかったので喫煙所について行った。

 

仕事や趣味の話をした。楽しかった。彼女には自分の正直な気持ちを言えた。

 

なぜだろう?なぜ僕はあんな話をしたんだろう?

 

彼女なら全てを受け入れてくれそうな気がした。なんとなく。

 

僕「ねぇ...Cさん...あの...Cさんって...下品な話...大丈夫(笑)?」

 

Cさん「下品な話(笑)?...ある程度は大丈夫...(笑)
前の職場でめっちゃ下ネタ好きな人がいて...その人から結構聞かされてたから...」

 

僕「まじで?じゃあごめん...めっちゃ下品だけど...相談してもいい?」

 

僕はそう言って「気持ち悪いブログを書いていること」

「ブログを読んでメールをくれたたくさんの女性とセックスをしたこと」を

打ち明けた。(ブログのタイトルやハンドルネームは言ってない)

なぜ自分からそんなことを言ったのか自分でもよくわからない。

 

僕はずっと身バレを恐れていた。今も恐れている。

僕は真面目な人間だ。良くも悪くも。

職場の僕も「本当の僕」だしブログの僕も「本当の僕」だ。人は誰しも

「いろんな自分」を持っている。「この僕は本当だけどあの僕は嘘」

ということはない。全部本当の自分だ。

自分の本音を話せる相手なんてなかなかいない。だからこそ僕は

このブログで自分が本当に考えていることを語り始めた。

その本音を見られるのはとても恥ずかしいし、考えただけで吐き気がする。

このブログを職場の人に見られたらどうなるんだろう?全く想像がつかない。

僕は本当に吐くかもしれない。職場の人からは軽蔑されるだろう。

軽蔑されることを書いたり、したりする僕が悪いんだろうけど...

 

彼女は「え~(笑)」と言った。


「私は絶対にそういうことしない...よっぽど気を許した人じゃないと

セックスとかはしない。中村さんやばい...(笑)」

そして僕は、今までセックスしたほとんどの女性とイクことが出来なくて、

その気まずさ、イケないことが怖くて、セックスをするのが段々怖くなってきた、

という話をした。

 

僕「セックスするのは好きなんですけど、すごく怖いんです。

挿入して10秒くらい経つと、イケるかどうかが分かるんです。

イケないと分かった瞬間、もうどうしたらいいのか分からなくなるんです...」

 

Cさん「え...なんでだろ...」

Cさん「好きって気持ちが...無いからじゃない?

会ったばかりの子だったりするんでしょ?気持ちが入ってないからじゃない?」

 

僕「いや......好きなんです。可愛い子ばかりだし性格も良い子ばかりだから

好きになるんです。好きなのにイケないんです。本当に分からない...」

 

Cさん「普段一人でし過ぎとか(笑)?」

 

僕「いやそんなしてない(笑)」

 

結局結論が出ないまま話は終わった。

 

本当はもっといろんな話をしたかったけど、食事やお茶に誘う勇気はなかった。

別れる直前なぜかCさんの彼氏の話になった。

イケメンでモテるらしい。

なぜか話題は「浮気」になった。

 

僕「彼氏さんって浮気とかしそうな感じの方なんですか?」

 

Cさん「...そういうことをするタイプではないかな......たぶん...」

僕は今まで何人かの女性にこの質問をしてきたけど、みんないつも同じ答えなので

思わず「...女の子ってみんなそう言いますよね...(笑)」と言った。

ほんの少し皮肉の意図もあった。

 

僕がそう言うと...彼女は一瞬戸惑ったような表情を浮かべた...

 

そして、別れ際に一瞬彼女の顔が曇ったことを覚えている。

僕が「また明日。お疲れ様です^ ^」と言って彼女の顔を見た時、

明らかに顔が曇っていた。

 

見たことのない彼女の顔だった。

それがずっと引っかかっていた。

「あの時何を考えてたんですか?」って聞きたい。でももう聞けない。

彼女は仕事を辞めたから。

 

あの日からなんとなくCさんとは気まずくなって、職場ですれ違っても

全く話さなくなった。というか話せなくなった。目を合わせるのも怖くなった。

なんとなく避けられている気がした。軽蔑されているような気がした。
わからない。僕の勘違いかもしれない。

たしかに「ネットで出会ったいろんな女性とセックスをする」という行為は

気持ち悪いことかもしれない。引かれることかもしれない。

 

全く話さなくなってから1、2ヶ月経った頃たまたま彼女と事務所で

2人きりになる機会があった。僕は謝ろうと思った。

やはりあんな話はするべきじゃなかった。

僕は彼女に近づいた。


「Cさんごめん...この前変な話してごめんね...もうああいう話二度としないから...

ごめん...」

僕は無意識に「全然大丈夫だよ(笑)最近どうなの?

なんかおもしろいことあった(笑)?」みたいなリアクションを期待していた。

でも彼女からの返答は一言「大丈夫です^ ^」だけだった。

彼女は「本当に」あんな話は聞きたくなかったのかもしれない。

僕は気まずくなって苦しくなって「ごめんね...」と言ってその場から離れた。

 

最後に彼女と話したのは2ヶ月くらい前だ。

職場の同僚10人くらいで一緒にお昼ご飯を食べた。

彼女とご飯を一緒に食べるのは初めてだった。

 

彼女はみんなの前で「最近仕事がきつい」「先日仕事中につらくて泣いた」

という話をした。仕事でとても嫌なことがあったらしい。

そして「最近体調が悪い」と言った。

 

彼女は少し病んでいるように見えた。普段よりも少し明るくて口数が多いのが

逆に僕を不安にさせた。そして珍しく、話を聞いて欲しそうだった。

彼女は自分からそういう「弱さ」というか「かまってほしい」みたいな

雰囲気を出す子ではなかった。むしろ人の話を聞いて

適切なアドバイスをくれる側の人間だった。

彼女の話が聞きたかった。

 

僕は自動販売機で彼女が好きそうなジュースを2本買って

「どっちがいいですか?」と聞いた。
彼女は「え~(笑) ... ありがと...じゃあ...こっち^ ^」と片方を選んだ。

普通に話してくれたことに僕は安心した。

彼女は僕を軽蔑したり避けているようではないようだ。

 

でもほかの男性への接し方と僕への接し方が同じで、そこに少し戸惑った。

たぶん彼女はほかの男性陣とはほとんど喋ったことがないはずだった。

僕とは結構話したのに、どこか他人行儀というか...そこが少し気になった。

僕は彼女と話したかったけど、みんながいて個別に話せるような空気ではなかった。

結局彼女と話したのはそれが最後だった。

彼女は数日後仕事を辞めた。ある日突然ロッカーから彼女の名前が消えていた。

 

彼女と会って話がしたい。彼女は今どんなことを考えているんだろう。
なぜ仕事を辞めたのか、僕の話を聞いてどう思ったのか、そんなことが知りたい。

 

もしCさんがこの文章を読んでくれていたら...おそらくすぐに僕って気づくと思う。

もし良ければ...メールをくれたらと思う。一度会って話したい。

僕が話したことも彼女が辞める原因の一つになっていたんだろうか?
たぶんそれは無いと思うけど...なんとなく気になっている...

 

その後僕は職場のいろんな方に「気持ち悪いブログを書いていること」と「

ネットで知り合った複数の女性とセックスをしたこと」を伝えた。

なぜ自分からそんな話をしたのか...よくわからない。

もし彼らの誰かがこの文章を読んだら100%僕だと気づくと思う。

そのときはどうか...他の人には言わず職場で僕だけに伝えてほしい。
「ブログ見ましたよ...」と。

 


「なぜ自分からそんなことを言ったんだろう?」

理由としてはいくつか考えられるが...
たぶん僕は...「バレる前に自分から言いたかった」んだと思う。

 

いつか僕が「中村」という名前で気持ち悪いブログを書いていることが職場の人や

プライベートの知り合いになんらかの形でバレるかもしれない。

その前に言っておきたかったのかもしれない。バレてから言うのと、

バレる前に自分から告白するのでは意味が全然違ってくる。


僕は万が一バレた時に備えて、保険をかけたかったんだと思う。

でももちろんバレたくはない。だからこそ中村という名前は誰にも言ってない。

バレたら確実に軽蔑されたり笑われる内容だからだ。軽蔑されたくはない。

というか職場の多くの人に知られてしまった場合、

僕は恥ずかしくて、もう出勤できない気がする...

 

今の職場を辞めたくない。出来ればまだこの仕事を続けたい...


僕は今そんなことを考えている...

(後編に続く)